くらむぼんのViva! Cinema Viva! Queen Viva! Voyage♪

映画とか旅とか大好きなQueen(バンド)の備忘録、時々ひとりごと

誓ったはずの、永遠の愛が

夫婦モノ。
なんて、ジャンル。あったかいな。
2本続けて観たのですが、両方ともミドルエイジ(中年って言い方、キライ)の夫婦の「愛の変質」のオハナシ。


始まりはBoy meets Girl。
恋して、愛になって、この人しかいないと思い、結ばれて、結婚する。
その後、愛は男女のそれから家族としての情に変わり、その過程ですれ違いやいさかい、もしくは相手への無関心を経て(平たく言えば夫婦の危機)、
気がつけば年をとっていき。もう別れるとかそんなパワーもないし(現実的にはお金も)、まあ最後まで面倒みあうならこの人しかないか…。


そんなとこですよね、大方のフツーのひとたちの結婚生活って。
(すみません、エラソーに)
それを映画にしようという。
しかも、一番キツイ時代を。そう、夫婦の危機の時代を、です。
独身だったら「まあ、結婚したって薔薇色ってわけじゃなさそうだしい」とか。リアルに夫婦生活に悩みを抱えているヒトであれば「隣の芝生じゃないが、ウチだけじゃないっていうのを知っとくのも悪かないか」的な
ノゾキ趣味で手が出てしまう素材かも、しれませんが。


ハッキリ言います。
10代、20代は見ない方がいいです。夢も希望もなくなる(笑)
特に恋愛に悩みを抱えたアラサーの女性はゼッタイだめ。
こんな映画観ちゃうと、道を踏み外します。って言いすぎか(笑)
ではぼちぼちご紹介をば。
(いずれもYahoo映画から引用)


「ブルー・バレンタイン」

ブルーバレンタイン

ブルーバレンタインとは編集

あらすじ: 結婚7年目を迎え、娘と共に3人で暮らすディーン(ライアン・ゴズリング)とシンディ(ミシェル・ウィリアムズ)夫妻。努力の末に資格を取って忙しく働く妻シンディに対し、夫ディーンの仕事は順調ではない。お互い相手に不満を募らせながらも、平穏な家庭生活を何とか守ろうとする2人だったが、かつては夢中で愛し合った時期があった……。


ビフォア・ミッドナイト

ビフォア・ミッドナイト

ビフォア・ミッドナイトとは編集

あらすじ: パリ在住の小説家ジェシーイーサン・ホーク)と環境運動家のセリーヌジュリー・デルピー)は、双子の娘を伴いギリシャでバカンスを過ごすことにする。同時にシカゴでジェシーの前妻と暮らす息子ハンク(シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック)も呼び寄せる。彼らは共に海辺の町で夏休みを過ごした後、ジェシーはハンクを空港まで見送るが……。


その1.
ブルー・バレンタインは、救いがないです(笑)
過去の甘美な記憶と、現実の生活とのギャップたるや…。
それを観る側に実感させる、その映画の構成がうますぎる。
そう、うまいんです。いい映画なんですよ。
それこそ観終わった後に、なぜだかこっちの肩までがなーんか重たくなった気がする、みたいな感想を持つというか。そのくらい、離れてしまった夫婦の感情を見事に描き切っている。
いやーこれでもかと突き刺さってきますよー。
男と女って、そりゃ別々の人間ですよ。ですが、もう少しなんとかならないものでしょうか?などと、イケてないワイドショーのゆがんだ正義感を持ったエセ・レポーターみたいな気分にさせてくれるわけです。はい。
さまよえるアラサー女性に最も観て頂きなくない理由としては、この映画きっかけで現実逃避のあまり不倫に走ったり、結婚恐怖症になったりして、大事な時期をフイにしてはいけませんので。全くの余計なお世話ですが(笑)
実際に微妙な時期を迎えているご夫婦にも、オススメはできません。
もしくは過去にそんなコトがあって、今(どうにかこうにか)円満でいられているオットとツマもアキマヘン。ヘンなトラウマを起こしますから。
普遍的な毎日が続く、市井の人々の「ケ」の生活。その中でもきらめいていた時間はあって。それは結婚までの情熱的な時だったり、子供の出産だったり。でもそんな幸せな「ハレ」の瞬間は悲しいかな、日常の不満や小さなボタンの掛け違いから生まれる「性格の不一致」的な問題の前に、少しずつぼやけていって、いつかは不満や抱えている問題の方ばかりが大きくなってしまう。
そんなこたあ、いやってほどわかってるんだから映画くらい楽しく観させてよ。って言われる事を覚悟の上で、しかもドマラちっくでもなんでもない夫婦生活が破綻していく様を、あえて取り出して料理し、とーーーーても酸っぱく、むっちゃくちゃに辛く、胃にずしーーんと堪える素材を選び、料理しきった監督の力量には脱帽します。
ミッシェル・ウィリアムズ扮する妻シンディが、若いこ頃には苦手で(恐らく嫌っていた)居高丈で高圧的な父親のせいで、実は男性不信(その裏返しで多くの男と性行為を持つわけだが)だったにも拘わらず、今は夫との危機を回避するために父親を頼っている姿も、血は肉より濃いというか、夫婦は他人であり、親子の絆には勝てないという逆説的な比喩にもなっていて。
細かい設定にも手を抜かない演出・脚本が素晴らしいです。
今の自分の恋愛や生活と映画とをシンクロさせなることのない、強いつよーい客観性をお持ちの方のみ必見の映画です。ほめてんだか、けなしてんだかですが、すみません。


その2.
ビフォア・ミッドナイト。こちらもあぶなっかしい夫婦生活とはいえ、まだ多少の救いがある「創り」になってます。
よって現実を直視したうえでこれからの結婚生活を迎えようという潔い覚悟ができている20代の男女とか、壊れかけ・崖っぷちですがどうにか修復したいと模索中のミドルエイジのご夫婦にも、奏功するかも、しれません。
リアルな人生の特効薬になるかどうかなんて、映画作っている人からすれば
関係ないんでしょうけど。でも、案外悩み抱えた人間って、ナニきっかけで
変わるかわかりませんからね。映画で離婚回避?嘘でしょ。みたいな。
いってしまえば、夫婦喧嘩のお話です。それも思い出づくりの大切な一夜で、ドカンと勃発するわけですな。
別に夫婦じゃなくても、ただの恋人同士でも、割とあったりしますよね、このシチュエーション。漸くとれた休みに彼氏がサプライズだ!とばかりに頑張って取った宿。だけど蓋をあければイマイチ彼女の趣味にあわず気に入らないばかりか、旅の道中の(に、飽き足らず、さかのぼることこれまであった出来事の)小さなイライラが募り募って、他人から見れば大した事じゃなさそうなコトなんだけど、彼女が爆発してしまい…とか。
イーサン・ホーク扮する夫ジェシーは、その地雷をまんまと踏んでしまう。
わかっているのに、現実を見ようとしないから。それは自分の息子との関係性なんですけどね。息子はすでに離婚した父親との距離を冷静に受け止めることができるほどに成長しているが、ジェシーはそれを認めたがらず(男のプライドですね、これも)「息子の為」という理由で妻セリーヌに生活を変えたいと提案する。そこに女の鋭い嗅覚をもった妻セリーヌは「オットの都合のいいわがまま」を敏感に嗅ぎ取って、噛みつくわけです。まあ、その噛みつきっぷりもどんどんエスカレートしていって、若干女性特有の「あの時あなた、浮気してたわよね」的な暴露を促す「論点のすり替え攻撃」にもなっていくわけですが(笑)
この夫婦に関して言うと、どっちもどっちなんです。観てる側からすると。
特に前半から半ばにかけての展開は、「ふーん。こんなにウィットに富んだ会話ができる夫婦なら、危なくなんか、ないじゃんか」って思わされるくらい、二人ともよーく喋るんですよ。夫婦の危機って、無関心から始まると思っているワタクシからしますと、美しいギリシャの風景をバックに語りあっている時点で大丈夫じゃん!みたいな。だらしないシャツ姿のままで歩くイーサンホークも、お腹から腰回りがすっかりミドルエイジ体形のジュリーデルビーにしたって、そんじょそこらのオジサンオバサンからしたら全然イケてる美男美女にみえるし。(ジュリーデルビーの胸元や腕にシミ一つなくて太っても流石は女優だ!って友人に話したら、そんなもん修正してるにきまってるだろと一笑にふされて、そりゃそうか、ああこれぞまさに現実とか思いました。蛇足ですが)
でも。地雷ふんじゃってから後は、文字通り矢のようなゲキ飛ばしまくりの喧嘩の応酬で。これがいやはや、あるあるある…っていうセリフ、表情、シチュエーションに満ち溢れているんですね。あー、そこまで言うか。とか。
監督のアイロニーが凝縮されていて、イタかったり、ニンマリしたりします。


2本ともに共通して描かれていることは何か。
女はあくまでも現実に生き、男はロマンを大切にしようとし過ぎて逃げに入る。で、女はそんな男が許せない。判決を下す判事役は妻であるということ。
ライアン・ゴズリングイーサン・ホークも、あんなに女房から拒否されたり罵倒されたりするほど、悪い旦那だとは思えないんですけどね。ライアン・ゴズリングのディーンの若い時なんて、器量のデカイ、いい奴じゃないかって思うし。まあ、それを「若気の至り」とばっさりやるのが監督の意図するトコなんですけどね。あー切なすぎる(笑)
じゃあ女房側はどうなのかっていえば、こっちにだってずっとずっと我慢してきた事があるのよ、って。
壊れた関係を立て直すことなんてもう無理。あの頃の貴方はあんなにキラキラしてたのに。今の貴方なんて見る影もない。ぶっちゃけ、稼ぎも大したことないし。こんな生活、私望んでなかったわ…とか。
あの時には言えなかったけど、もう黙ってるわけにはいかない。知らないふりしてたけど、若い女と浮気してたくせに!そのくせ、いっつも私が悪いみたいに自分を正当化して、もうやってられないわ!…とか。
ミッシェル・ウィリアムズもジュリー・デルビーも既に自分の中で結論が出ちゃっている。女は強い。ありがちな切り口だけど、そこもまたリアル視点なんだろうな。そして女性の嫌な部分もチクリと観せられます。


次は、もうちょっとユメトキボウのある映画にしようっと(笑)